加納晃ブログ

企業やメディアの真実隠しは国民の判断を誤らせます。これに無関心でいると日本は現在の欧米のように混乱の社会に突入します。善良なる国民であれば、もうこれ以上無関心を装うことはできません。

介護保険制度に見る家族の必要性 =2=

【前号の続き】

 自宅で一人暮らしをしているCさん(女性・76歳)を例にとってみる。

Cさんは心臓に持病があり定期的に通院をしていましたが、

最近、介護保険の認定で要支援とされました。

Cさんは最近体調が思わしくないことから、ヘルパーさんに通院の介助を依頼する

ことにしました。しかし、使える介護サービスの範囲を超えることから、

介護保険適用外となることを知るのです。

 これは、介護サービスに上限を設け、そこを超える介護や暮らしのサポートは

家族がおこなうこととなります。つまり、制度そのものが高齢者のかたわらに

家族がいることを前提としているのです。

 


住所地がないと介護老人保健施鞍にも入れない現実

 マンションで一人暮らしをしていた75歳の女性が、

風呂場で倒れていたのを朝方訪問したヘルパーが発見し、

救急車で急性期病院へ運ばれ一命を取り留めました。

脳梗塞が起因となったケースで手遅れとなれば命にかかわったことでしょう。


 治療も落ちついたころに地域医療連携をしている二次病院へ移りました。

このときに、マンションを手放すことを決意し売却をしてしまったことで

困難な状況に陥ることになってしょいました。

介稚老人保健施設老健)へ移り、リハビリ生活に入ることと

なったのですが、すでにマンションを売却していて、住所地がなくなっていたため

施設に入ることができなかったのです。

安易に老健施設に住所地を置けると考えていたのですが、制度上、中間施設である

老健には住所地が置けないのです。

知り合いがいれば事情をくんで住所を移すことも可能でしょうが、

高齢者には、そのような友人が近くにいないことも少なくありません。

ある自治体では、このような高齢者の救済策として、

古くなった公営住宅を政策アパートと称し、

住所地を置かせる工夫をしているところもあります。

しかし、これはまれなケースです。

この女性のように一人暮らしの高齢者が路頭に迷うことは

珍しくありません。



 住所地がないと生活保護が受けられない現実

 Cさんは公営アパート入居中に若いときからの腎臓疾患が悪化して、

入院して人工透析をすることとなりました。

アパートの開け渡しを市から求められ、病院で入院が長期化する

こともあるため、明け渡すこととしました。


                      【次回に続く】