医療保険制度も家族が傍らにいることが前提の制度
ここに、具体事例を紹介しよう。
入院手続き時、Bさんは病院への提出者類を見て愕然としました。
身元引受人と緊急連絡先の記入欄を埋めることができなかったのです。
妻は3年前に他界しており、子どももいません。
これから先の老後を考え、不安が襲ってきました。
困り果てた末、妻の弟に身元引受人と緊急連絡先をお願いし、
入院中の手術同意や輸血同意、感染症のリスク説明など多くの手間を掛けてしまったことを
Bさんは心苦しく感じました。
一人っ子で、妻の身内に頼まざるを得ないというパターンは少なくありません。
介護保険制度毒に見る家族の必要性
介護保険制度は、介護サービスを受ける高齢者の数が急速に増えたことで、
制度そのものが悲鳴をあげ、自治体の財政負担が日増しに重くなってきています。
そんな現実をよそに、高齢者は老いればなにもしなくても介護保険が必ず使えるものだ
と、いわば反射的に思っているようです。
しかし、現実には介護保険制度を利用するためには「介護認定を受けたい」と
行政窓口へ申し出て、初めて調査員の派遣を受けることができ、
介護認定の申請手続きをすることになります。
調査員の面談・調査にも時間が掛かりますが、介護認定が出てから、
最寄りの居宅支援事業所と訪問介護の契約をおこない、
やっと自分の介護状態に沿ったケアプランを作成してもらうことができるのです。
このとき、一人暮らしの高齢者の多くは戸惑いながらも、サービス提供契約書や
重要事項説明書、ケアプランに署名、捺印することになります。
家族がいない、身寄りがいないことで当初から相談相手も少なく、
多くの方は手続きに手間取ってしまうのが現実です。
介護保険を利用して、訪問介護サービスや適所介護サービスなどを
受けることが一人暮らしの高齢者にとっては、
どんなに大変な作業となるかは想像に難くありません。
=次回に続く=